試験の出題範囲
「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」
ITパスポート試験の出題範囲は「ストラテジ系」、「マネジメント系」、「テクノロジ系」の大きく3つの分野に分かれています。
ITパスポート試験はシステムのある部分を開発するような専門知識ではなく、一般に社会人が備えておくべき基礎知識を測る試験なので、一つの分野だけではなく広い知識を求めています。
「学習範囲が広くて大変」と感じてしまうかもしれませんが、ITパスポートの知識を習得できると、ITへの抵抗感がなくなるのはホントです。
ここは前向きに考え、初学のことにも好奇心旺盛に取り組んでいきましょう。このページで3分野の概略をお話しします。
ストラテジ系
ステラテジ系とは簡単に言ってしまえば、ITを使い企業活動の分析を行なう勉強をしていきます。
広くビジネスの視点から、情報処理技術に関する基礎用語や概念を問う問題が出題されます。
経営戦略や会計、法務、マーケティング戦略など、広くビジネスの視点から、企業活動とITとの関わりを中心としたテーマを扱っているのがこの分野です。
例えば、より良いサービスや商品を作り上げていくための分析や改善をおこなうPDCAと呼ばれるサイクルを繰り返す手法。
オフィスツールを使って、企業や商品のデーターをグラフ化する方法などです。
出題範囲
- 企業活動
- 法務
- 経営戦略マネジメント
- 技術戦略マネジメント
- ビジネスインダストリ
- システム戦略
- システム企画
- システム技術開発
- ソフトウェア開発管理技術
科目別ピックアップ情報
企業と法務
企業:
- 財務諸表、損益分岐点などの基本的な考え方
- 身近な業務を分析し、課題を解決する手法や、PDCA の考え方
- 業務フローなど業務を把握する際のビジュアル表現など
法務:
- 知的財産権(著作権,産業財産権など)
- 個人情報保護法
- 労働基準法
- 労働者派遣法など
経営戦略
経営戦略マネジメント:
- 表計算ソフト
- データベースソフトなどオフィスツールの利用など
ビジネスインダストリ:
- 電子商取引
- POS システム
- IC カード・RFID 応用システムなど
システム戦略
システム戦略:
- 情報システム戦略の意義と目的
- 戦略目標、業務改善、問題解決に向けた考え方など
システム企画:
- 見積書
- 提案依頼書(RFP)
- 提案書の流れなど調達の基本的な流れなど
マネジメント系
マネジメント系は、システムやソフトウェア開発、プロジェクトマネジメントのプロセスを学び、コンピューターやネットワークを使っての環境設備を整えるための基礎も学びます。
主に開発プロジェクトの運営や、プロジェクト進行に関わる計画・実施手法などに関する基本的な用語・概念など知識を問う問題が出題されます。
企業で利用されるITシステムが、システム開発会社等によりどのような流れで作られていくのか、またITを活用すると会社の業務はどのよう効率的に管理されるのか、そのようなフローを学ぶのがこの分野のテーマです。
そのためマネジメント系では、システムのテスト方法や開発チームの管理なども学習の対象になります。
出題範囲
- システム技術開発
- ソフトウェア開発管理技術
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- システム監査
科目別ピックアップ情報
開発技術
システム開発技術:
- 要件定義
- システム設計
- プログラミング
- テスト
- ソフトウェア保守など、ソフトウェア開発のプロセスの基本的知識
- ソフトウェア開発における見積りの考え方など
ソフトウェア開発管理技術:
- 開発手法に関する意義や目的について
プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメント:
- プロジェクトマネジメントの意義,目的,考え方,プロセス,手法など
サービスマネジメント
サービスマネジメント:
- IT サービスマネジメントの意義,目的,考え。コンピュータやネットワークなどのシステム環境整備に関する考え方など
システム監査:
- システム監査の意義、目的、考え方。内部統制
- IT ガバナンスの意義、目的、考え方など
テクノロジ系
ハードウェアからソフトウェアまで、実際にIT機器を利用する時に重要な知識を扱っているのがテクノロジ系です。ITに関連する基礎的な用語や意味を学んでいきます。
この分野では、コンピュータの構造や動作の仕組み、またネットワーク、セキュリティ、データベース全般についての幅広い知識が問われます。
出題範囲
- 基礎理論
- アルゴリズムとプログラミング
- コンピュータ構成要素
- システム構成要素
- ソフトウェア
- ハードウェア
- ヒューマンインターフェース
- マルチメディア
- データベース
- ネットワーク・セキュリティ
科目別ピックアップ情報
基礎理論
基礎理論:
- 2進数の特徴や演算基数に関する基本的な考え方、ビット,バイトなど
- 情報量の表し方や,ディジタル化の基本的な考え方
アルゴリズムとプログラミング:
- アルゴリズムとデーター構造の基本的な考え方
- 流れ図の表現方法
- HTML,XML などのマークアップ言語の種類とその基本的な使い方
- プログラミングの役割など
コンピュータシステム
コンピュータの構成要素:
- コンピュータの基本的な構成と役割
- プロセッサの性能と基本的な仕組み、メモリの種類と特徴
- 記録媒体の種類と特徴
- 入出力インタフェース
- デバイスドライバの種類と特徴など
システム構成要素:
- システムの構成、処理形態,利用形態の特徴
- クライアントサーバシステムの特徴
- Web システムの特徴
- システムの性能・信頼性の考え方など
ソフトウェア:
- OS の必要性,機能,種類,特徴
- ファイル管理の考え方と基本的な機能の利用法、バックアップの基本的な考え方
- オープンソースソフトウェア(OSS)の特徴など
ハードウェア:
- コンピュータの種類と特徴
- 入出力装置の種類と特徴
技術要素
ヒューマンインターフェイス:
- GUI、メニューなど、インタフェースの設計の考え方
マルチメディア:
- JPEG、MPEG、MP3 など
- 符号化の種類と特徴
- 情報の圧縮と伸長、メディアの特徴など
データベース:
- DBMS・データベースモデルの種類排他制御・リカバリ処理の方法など
ネットワーク:
- LAN やWAN の種類と構成、インターネットやLAN の接続装置の役割
- 通信プロトコルの必要性、代表的なプロトコルの役割
- 電子メール、インターネットサービスの特徴
セキュリティ:
- 情報セキュリティの基本
- ウイルス対策などの技術的セキュリティ対策の考え方
- ID・パスワード、コールバック、ディジタル署名、生体認証技術など、認証技術の種類と特徴
- 公開鍵、秘密鍵など、暗号化技術の仕組など
出題範囲は広いが、問われる知識は浅い
出題範囲が広いのがITパスポートの特徴です。
これはITパスポートの試験に限った事ではなく、他の試験にも言えることですが、難易度の高い試験と言うのは例外なく、出題範囲が広くなるのです。
出題範囲が狭ければ、例え深い内容を問われても、関連する知識を理解できれば、それほど苦になりませし、出題ポイントも読みやすくなります。
ですが、出題範囲が広いと異なる様々な知識を理解せねばならず、しかもITパスポートは、覚えにくい専門用語がだらけです。
ですから、非常に勉強しにくく、暗記もしなくてはいけません。
その結果どうなるのかと言うと、多くの勉強時間が必要になるのです。
これが、ITパスポートの試験が簡単でない理由です。
勉強を続けられるかがポイント
しかし、出題範囲が広いと言っても、問われる内容が浅いですから、しっかりと勉強さえすれば十分に対応できるようになります。
もちろん知識がまったくない方も然りです。
最終的には、独学で勉強するにせよ、通信講座を使うにせよ、しっかりと試験対策をして、勉強さえすればITパスポートは合格できると思います。
大切なのは挫折しないで勉強を続けられるかです。
基本的に不合格になる人というのは、勉強量が足りないことが原因なのです。
勉強を続けられる人がITパスポートに合格して、そうでない人が不合格になる、とてもわかりやすい図式だと思います。